PROLOGUE
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PROLOGUE

サンクチュアリー本店レーシングは これまでも、空冷最強 最速クラス
スーパーモンスター エヴォリューションに 数年に渡ってエントリー。
そこには数多くのドラマがあり、今も尚 記憶に新しい。
サンクチュアリーのレース活動は松戸市での創業時代より 好きでエントリーしていた テイストオブフリーランス(T・O・F)に
起源を発した1990年台後半にまで遡る。

KAWASAKI Zの魅力

1972年、世界最速を命題に生まれたカワサキZ1。
搭載されたDOHC 2バルブ 直列4気筒エンジンは最高峰に相応しいクオリティを持ち、
鋳鉄製クランクケースは
堅牢でチューニングのベースエンジンとして高いポテンシャルを有していた。

ロードレースやドラッグレースにも使われたZ1は様々なパーツが開発され、その後に登場する後継機のパーツとの互換性も高かった事からそれらを追求しようとする
チューナーやエンスージアスト達により多くの経験やノウハウが蓄積されていく。
実際に手を加えられたエンジンはノーマルとは別物のように暴力的で力強く生まれ変わり、本気で手を入れれば現代の水冷バイクにも匹敵しうるパワーを手に入れる
こともできる。

またスーパースポーツとして生まれたZ1だが、今ほど前傾姿勢を強いられる事がないポジションであり、そのオールラウンダーさはツーリングや街乗りなど、使い道に合わせてどの様なスタイルも受け入れられる。一台のオートバイでZ1ほど多様さを受け入れられるオートバイも中々ないだろう。

いじる行為がいつまで経っても終わらないので飽きない。
この終わらない行為こそが当時から現在に至るまで支持されているZ1の大きな魅力ではないだろうか。

カスタムとは

オートバイブーム発祥の頃に免許を取った世代にとって空冷の4気筒車は特別めずらしい存在ではなかった。週末のパーキングエリアは数百台にも昇るツーリングバイクの群れ。ロックハートのオイルクーラー、KONIやマルゾッキのリアサス、いいとこCRキャブレター位が改造の対象。少年週刊誌はこぞってバイクマンガを掲載する。そんな盛り上がりの時代だった。

その様な時代背景もありメーカーはものすごいサイクルで新型車を投入してきた。アルミフレーム、水冷エンジン、フェアリング、急速にマシンの性能は上がっていく。
そんな中、私も含めて買い替えられない連中がいる。彼らが取った行動はなにか…なんとか自分のバイクを速くしようと言う考えで、それを実践し始める。
新型機種のパーツを取り込み高性能なアフターマーケット部品に交換する。
トライ&エラーの繰り返し積み重なったノウハウは、サンクチュアリーのコンプリートカスタムマシン「RCM」という形に昇華し現在に至った。
そもそもは新型車に買い替えられなかったが故にハマったカスタム。それが40年近く経った今も続いている。

テイスト オブ フリーランス

そのレースからの影響は大きかった。
イエローコーンのZ1-R、クラスフォーのMK-2、YRPレーシングの刀、K’z FACTORYのZ1
17インチホイール化された
空冷4気筒マシン達の今まで見た事がない激しい走りに憧れ、胸躍らせた20代。
何て俊敏なコーナーリングをするんだろうと今でもその衝撃は忘れられない。

「Zは置物でもお宝でもない、どうすればZが一番速く走れるのか」
手段を選ばず、あくまで速さを追求する為に一線をも越えるその姿勢。ヴィンテージバイクとしての
時代的価値観を訴える人が増えて行く中にありながら究極のZを目指す姿に、Zとは速さであると改めて私は魅了された。

レース活動

サンクチュアリーのレース活動は松戸市での創業時代より、レース好きの仲間内でエントリーしていたテイストオブフリーランス(T・O・F)に起源を発した
1995年にまで遡る。2000年に江戸川区に移転してからはショップ主導による本格的なレース活動を開始。

2004年5月の大会、当時の空冷最速クラスモンスターエヴォリューションへのエントリーからライダーに上田隆仁を起用しトップ争いを展開する。
ライバルチームとの切磋琢磨の中「サーキット」という極限の環境の中でしか育む事が出来ない新技術や発想。そしてチューナーとライダーとの熱い
コラボレーションの結果、タイムは1秒台へ…
マシンの完成度も上がり走る度にコースレコードを更新していった。

そんな中、あの漆黒のマシンが現れて 流れは大きく変わり始める。
当時、早くも1分を切るタイムを叩き出したラッシュディールZ(後のイエローコーン HAM STEAK‐Ⅱ)
はコンパクトなサイズのオリジナルフレームZで、これまで見た事がない圧倒的動性能を見せつける。それは明らかに別次元のポテンシャルでショッキングな走りであった。

驚くべき動性能の違いは もはや空冷Zの鈍重な走りではなくノーマルフレームベースのZレーサー1号機では成す術もなし。

そんな追い詰められた最中Zレーサー1号機は練習中に転倒し大きなダメージを負い再生不能となる。
Zのフレームを別で用意しもう一度イチから再生させるか、あるいはあの漆黒のマシンに対抗すべくもう一つの道を選ぶかと迫られ、選択したのは手段を択ばず最強のZを追求する事。
究極のステージへ足を踏み入れた最強最速のZを造り上げる道だった。

オリジナルフレームへの挑戦

ビモータ、エグリ、モリワキモンスター…
過去にもサーキットでのパフォーマンス向上を目指し多くのコンストラクターがオリジナルフレームを制作したが、どれも当時主流だった18インチタイヤの使用を前提としたマシンだった。

最新の17インチハイスペックタイヤに最適化したオリジナルフレーム、それこそが前述のラッシュディールZであり、現在取り組んでいるRCM USA A16の源流ともなったZレーサー2号機である。

2007年10月、記念すべき現在のテイストオブツクバ、T・O・Tとなった第一回大会。
初開催となる空冷最速スーパーモンスターエヴォリューションクラスの決勝で2台のオリジナルフレームZはT・O・T史上稀に見るデッドヒートを繰り広げ、ベストタイムを0秒フラットまで引き上げると言う、
空冷マシンの水準を短期間で著しく進化させる結果となった。

初めて製作した2号機のオリジナルフレームから10年。
2号機フレームの欠点を徹底的に洗い出し、装着パーツやタイヤの高性能化に合わせ高い完成度で新生した2016年式のオリジナルフレームマシンがA16であり、そのA16のフレーム1R9SをベースとしたZレーサー3号機は、2019年11月のT・O・Tに初参戦にも関わらず油冷・水冷最速ハーキュリーズクラスのマシン達に肩を並べる58秒台ラップでデビュー戦を飾った。

スーパースポーツとしての空冷Zに対しあくまでも速さを求め続けた究極の進化こそが、RCM USA A16である。